就業ルールの不利益変更(1)
昨今、世界規模で会社を取り巻く環境が急速に変化しています。厳しさを増す環境に適応するため、労働条件の引き下げ(就業規則の不利益変更)を考えていらっしゃるかもしれません。しかし、一度定めた労働条件を引き下げることは法律により厳しく制限されていますので、そのような変更を行う際は細心の注意が必要です。
今回は、就業規則の不利益変更について解説いたします。
就業規則の変更
就業規則は、一定のルールを守れば、会社が自由に定める事ができます。同様に、その変更も、原則として会社が自由に行うことができます。
その一方で、あらゆる変更を認めてしまうと、労働者に対して一方的に不利な労働条件が突きつけられる恐れがあります。
そのため、「不利益変更」を行う場合については、制限が設けられています。
不利益変更とは
不利益変更とは『労働者の労働条件(将来を含む)に不利益を被る可能性のある変更』をいいます。
労働基準法による制限
労働基準法は第1条で同法を根拠にした労働条件の低下を禁じています。例えば、労働基準法では休日を原則として毎週少なくとも1回は与えることを定めていますが、この規定を根拠として、週休2日制を週休1日制に切り替えることはできません。
これまでの裁判による裁判所の見解
労働条件の不利益変更に関しては、裁判所の判断を仰ぐような労使トラブルに発展することが少なくありません。裁判所は、「一方的に不利益な労働条件を課すことは、原則として許されない」(秋北バス事件 最高裁S43.12.25)として、一方的な就業規則の不利益変更を否定しています。
<参考>就業規則変更の効力を否定した主な判例
御國ハイヤー事件(最高裁S58.7.15)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0610-5b1.html#11
朝日火災海上保険事件(最高裁H8.3.26)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0610-5b1.html#11
みちのく銀行事件(最高裁H12.9.7)
http://www.jil.go.jp/kobetsu/book/69.html
労働契約法による新たな明示
3月から施行された労働契約法では、これまでの裁判所の判断を踏まえ、会社による就業規則の一方的な不利益変更を禁止する規定を設けました。
「使用者(会社)は労働者と合意することなく、就業規則を労働者の不利益となる労働条件に変更することはできない。」(労働契約法第9条)
上記のとおり、就業規則を一方的に変更することで社員に労働条件の低下を強制することは禁じられています。しかしながら、就業規則の不利益変更が一切許されないというわけではありません。それでは、どのような場合に就業規則の不利益変更が認められるのでしょうか。次回は、その条件について解説いたします。















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