就業ルールの不利益変更(2)
前回、就業規則の不利益変更について解説いたしました。就業規則の変更により労働者に不利益な労働条件を一方的に課すことは原則として禁じられています。
しかし、社会情勢の変動や企業の財政状況の悪化等、一定の条件が揃った場合には不利益変更が認められます。今回は、不利益変更が認められるケースについて解説いたします。
不利益変更が認められる要因
1.不利益変更を行う必要性
会社の財政逼迫、社会情勢の急激な変動等、その不利益変更を行う必要性が高くなければなりません。例えば、会社の運営を維持するために変更が避けられない場合や、会社の統合等により就業規則の統合が必要不可欠な場合などです。
2.変更内容の合理性
変更によって労働者が被る不利益を総合的に考慮してもなお、その不利益を労働者に納得してもらうだけの合理的な内容が求められます。例えば、その労働条件だけをみると不利益を被るが、他の労働条件の向上によりトータルでみると不利益の程度が補填されている場合や、その不利益を認めないことで、事業が廃業してしまう可能性が高い場合などです。
裁判では、労働者が受けることになる不利益の程度と、会社が不利益変更をする必要性、合理性とを総合的に比較して、不利益変更が認められるか否か判断されています。
また、過去の判例では、変更によって労働者が被る不利益を緩和する代替措置や経過措置を取ることが求められています。
不利益変更の効力が認められた判例事例
・大曲市農業協同組合事件(最高裁S63.2.16)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0610-5b1.html#11
・羽子銀行(北斗銀行)事件(最高裁H12.9.12)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0610-5b1.html#11
労働契約法による規定
3月に施行された労働契約法では、過去の判例で示された指針を踏まえ、就業規則変更による労働条件の低下を行う際の要件が定められています。
1.変更が以下の事情から照らして合理的であること。
・労働者の受ける不利益の程度
・労働条件の変更の必要性
・変更後の就業規則の内容の相当性
・労働組合との交渉の状況
2.労働者に変更後の就業規則を周知させること。
企業として不利益変更をする時に注意するポイント
一定の条件を満たすことで、就業規則の不利益変更が認められますが、変更を必要とする背景、状況は会社によって異なるため、単純に過去の判例等を頼りに就業規則の変更を推し進めてしまうのは危険です。不利益変更を行う際、最も重要なことは、如何にして社員の理解を得るかです。以下のような配慮をお勧めいたします。
1.労働条件の低下が必要である事情を、事前に社員へ説明し、理解を得る努力をする。
2.不利益変更による影響を緩和する代替措置、経過措置を設ける。
3.パートやアルバイトなど正社員以外の特定層を対象に適用される場合、たとえ正社員でなくとも意見を聴く機会を設ける。
特に、賃金や労働時間の変更を行う場合は、社員に大きな負担を求めることになります。社員の十分な理解を得る努力を怠ると、労働争議に発展することもあり注意が必要です。















就業ルールの不利益変更(2)










